それは“もったいない”から始まった。
コカ・コーライーストジャパン蔵王工場で作っている「爽健美茶」の製造過程で出る茶殻にはたくさんの穀類が含まれていることから、平成20年、資源を有効利用する目的で飼料化する研究を始めました。地元の生産農家5戸の協力を得て、保存性と嗜好性を工夫しながら「爽健美茶の茶殻サイレージ」として牛への給与試験を実施しました。
翌年には「爽健美茶の茶殻サイレージ」として事業化することを目指し、安全性の確認と実用的な生産技術と利用技術の研究のために給与試験を実施しました。事業化に向けては、「発酵TMR」の生産と供給が必要であることなど、課題と方向性が確認されました。
※サイレージとは
家畜用飼料の1種で、牧草や穀物など飼料作物を発酵させたエサのこと。
※TMRとは
混合飼料のこと。Total Mixed Rationsの略で、牛の養分要求量に合うように粗飼料、濃厚飼料、ミネラル、ビタミンなどをすべて混合し、給餌させる方式。これに対し粗飼料と濃厚飼料を別々に給与することを分離給餌方式と呼ぶ。
平成22年には、「爽健美茶の茶殻サイレージ」に加えて、同じく地域の未利用の食品残渣である「蔵王チーズのチーズホエイ」も利用し、あらたな「発酵TMR」を製造しました。「茶殻」と「チーズホエイ」という地域の未利用資源の有効活用を図るため、引き続き牛への給与試験を実施して事業化を模索しました。
![]() |
![]() |
乳清(チーズホエイ) | 茶殻 |
新しいブランド牛の誕生。
牛への給与試験を実施する過程で、牛の健康にも好影響があることが分かってきました。
そこで、地域の未利用の食品残渣からつくった飼料を食べさせた牛としてブランド化できないかという模索が始まりました。肉質を調べると赤身がおいしい傾向があることも分かり、環境にやさしくヘルシーでおいしい牛肉であることが分かってきました。爽健美茶の「爽」、チーズホエイ=乳清の「清」から名前を取り「蔵王爽清牛」と名付けられた新しいブランド牛は、爽やかで清らかな蔵王の環境の中で育った地元産の牛としてスタートを切ったのです。